昨年話題になった「老後2,000万円問題」を契機に投資を始める方が急増しています。ただ、始めたものの「いくら貯めたらよいか分からない」という方もいらっしゃるのではと思います。
私は、この3月にアーリーリタイアする予定ですが、アーリーリタイアを目指す中で指針としてきた計算式(方程式)がありますので、ご紹介します。
期待資産額という考え方
トマス・J・スタンリーという方が書いた「となりの億万長者」というベストセラーになった本があります。その中で紹介されている「期待資産額」という考え方は、目標とすべき資産額の目安や現在の立ち位置を知るのに役立ちます。
期待資産額の計算式は、下記の通りです。
期待資産額=年齢×年収÷10
シンプルで覚えやすいですよね。
30歳で年収500万なら期待資産額は1,500万円、40歳で年収600万円なら期待資産額は2,400万円、50歳で年収900万円なら期待資産額は4,500万円となります(共働きの場合は、それぞれ計算して足して下さい。)
金融広報中央委員会が2019/11/18に公表した「家計の金融行動に関する世論調査」の2019年度の調査結果によれば、平均値が1,139万円、中央値が419万円。金融資産を保有している世帯で見ても、平均値は1,537万円、中央値は800万円となっていますので、スタンリーが唱える期待資産額と大きな乖離があることが分かります。
蓄財優等生と蓄財劣等生の分かれ目
「そんなものか」、「厳しすぎる」、感じ方は人それぞれだと思いますが、保有純資産の額が期待資産額の額よりも少なければ、残念ながら「蓄財劣等生」です。
また、期待資産額の2倍以上の純資産を持っていると「蓄財優等生」になります。
つまり、この本の基準でいけば、30歳、年収500万円の方は、1,500万円の純資産を持っているのは当たり前で特段蓄財上手とは言えません。3,000万円以上の純資産で初めて蓄財上手と言えるということです(私が30歳の時の年収はこのぐらいでしたが、劣等生でした)。
そして、蓄財優等生と蓄財劣等生の分かれ目は、年収の多寡ではなく、①支出をコントロールして貯蓄できているか、②投資でうまく運用できているか、で決まってきます。
年収が高くても散財を続けていれば、いつまでも蓄財劣等生のままでしょうし、年収が平均以下でも、上手に倹約できれば、蓄財優等生になれる可能性が高くなるということです。
ただ、収入ー支出の額がそれほど多くなくても(投資元本が小さくても)、投資で成功すれば、蓄財優等生になれる可能性はあります。
蓄財優等生になるには
再現性が高い方法としては、インデックス投資が挙げられます。アメリカのS&P 500インデックスの過去30年間の平均利回りが7%前後であることはよく知られています。
経費率が低い投資信託も増えてきていますので、iDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAといった優遇税制を活用しつつ、 S&P 500に連動する投資信託に愚直に積み立てていくという方法です。
私も企業型の確定拠出年金でインデックス投信に10年以上積立投資をしてきましたが、600万円強の元本で1,100万円を超えました(運用利回りは8%弱)。
超低金利の環境下で、8%という利回りはなかなかのものだと思いますが、大きな資産を育てるには長い年月が必要というのも事実。
また、S&P 500の過去30年間の平均利回りが7%前後ですが、リーマンショックなどの低迷期も存在するわけですし、これから先も続く保障はありません。
いかにインデックス投資の再現性が高いと言えど、運用期間中は、暴落に耐えうる胆力が必要になります。
インデックス投資もよいのですが、より短い期間で高パフォーマンスを得たいという場合は、リスクは格段に高くなりますが、他の投資手法、例えば、個別株への投資を併用するのも一つの選択肢かと思います。
手前事で恐縮ですが、運良く個別株への投資で蓄財優等生となり、会社人生を終えることができそうです。
まとめ
現在「劣等生」であっても悲観することはなく、どのようにしたら「優等生」に近づけるのかを考え、実践していけるかが大事なのではと思います。
ムダな支出を省き、余資を投資に回していく、これに尽きます。
▼良著です。
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